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先生のコラム

はりきゅう思うこと 田辺博照
 
自然界と鍼灸
鍼灸では、人間と自然界とを同調させることを重視しています。自然界の様々な現象・・・・例えば、春夏秋冬、暑い、寒いあるいは1日の時間の経過と人間の身体のリズムを調和させることに重きをおきます。
もちろん、西洋の言い伝えに「朝の果物は金、昼は銀・・・・」というように、時間に応じて食物を摂るという考えがあります。
ただ、鍼灸を施すうえでは、この考えが徹底しております。現代生活では夜と昼が逆転したような営み、自然界から採れた食物に異常ともいえる加工を施す食品群。これらが皆さんの体調を少なからず悪化させる原因の一つになると思われます。確かに西洋医学の進歩により、感染症に対する治療や高度な外科手術など我々は多大な恩恵を受けています。誰でも認めるところです。しかしこの高齢化社会、毎日ストレスにさらされる環境によって、不定愁訴や様々な身体の不調和が減ることはありません。いわゆる半健康人は逆に増えているといえます。
そこで東洋医学の出番です。というのは、東洋医学(はり・きゅう)の考え方では、宇宙の営みと人間の営みをマッチさせることが健康への第一歩と考えています。大宇宙と小宇宙(人間)という考えです。たしかに月や火星にロケットが往来する時世です。しかし、どんな星に行こうとも人間が生存するためには地球と同じ環境を人工的に作らなければなりません。地球と同じ環境条件でなければ生きてゆくことができないのです。
地球の自然の営みをつぶさに観察し、それに合致した生活をすることが最良と考えます。ただ、地球、自然界といわれても茫漠としてつかみようがありません。
ここで身近なところに自然界をあらわしたものがあります。大相撲の土俵です。この力士の舞台には春夏秋冬や生命の輪廻や身体のバイオリズムなど全て凝縮されてつまっています。とても面白い未知の世界です。鍼灸学校ではこれらのことを広く学び、治療に役立てます。皆さんの考えの中に新しい一面が加わることと思います。ぜひ触れてみてください。


 
「気」と高見盛
「気」というものを鍼灸ではとても大事にします。空気、陽気、活気の気です。眼には見えません。しかし、実際にはあります。難しい試験を前にすると弱気になったり、美味しいものを食べたり、恋人に逢ったりすれば元気になったり・・・・みんな経験がおありでしょう。 田辺先生
鍼灸はこの「気」に重きをおいて治療します。長い間病気に罹患すると、誰だって陽気にはなれませんね。良い気を鍼によって身体に与えたり、邪気が多いときはそれを取り除いたりするのが鍼灸の主な治療です。様々な診断、治療法を駆使してリスクは少なく効果の大きい方法を行います。
話は変わりますが、高見盛、ご存知ですか。この関取を見ていると「気」がいかに大切かという思いにかられます。視力も弱く近視で取組相手が良く見えない。過去に土俵上で靱帯断裂という大怪我を負っています。どうも大男相手に相撲をとるのが恐いという思いもあるようです。それを払拭するためか、身体のあちこちを叩き気合を入れ、時間いっぱいでは拳骨で自分自身の顔を殴り、眼を大きく見開いて自分を鼓舞する。弱い自分の気持ちを奮い立たせる。稽古場では幕下にも分が悪い高見盛はそうやって気を心身に注入して勝負を挑む。そして勝つ。白星の時はこれ以上はないという嬉しそうな顔をして花道を引き上げる。
この関取を見ていると「気」の作用というものがいかに大切かということがわかります。10月28日番付発表、東小結、高見盛。九州場所も気合を入れてがんばれ、高見盛。


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