HOME  >  みんなの声  >  先生のコラム  >  鍼灸医学と病理学の接点を求めて-その2.64分裂で着床

先生のコラム

鍼灸医学と病理学の接点を求めて 西岡敏子
 
その2.64分裂で着床

「発生」に関しては学生のころからの疑問がひとつあった。故小林三剛理事長が講義で「受精卵は易の64卦と同じ64分裂したとき着床する」とおっしゃたことである。内心「そんな都合よく符合するものか」と思っていたが、「64分裂」期に相当する記述を見つけることはできなかった。

しかし受精卵は「易有太極。是生兩儀。兩儀生四象、四象生八卦(易に太極あり。これ兩儀を生じ、兩儀 四象を生じ、四象 八卦を生ず)と『易経』繋辞伝にある通りの分割をしてゆく。
まさに卵管の中で受精した接合子が2細胞期、4細胞期、8細胞期を経て「桑実胚」にまで進む過程が図1に示してある。ここまでほんの2~3日の間のことである。
図1:受精から着床まで
受精卵は細胞の質量は一定のままで数だけが増加して、ぎしぎしに押し合いへし合いの状態になってしまう。これを「桑実胚」という。桑の実の形のようだからである。
そして子宮内に入ると、くびれて内部に陥没し袋状の「胞胚」になる。この外側の細胞層を「外胚葉」、内側の細胞層を「内胚葉」という。「中胚葉」はこの内外二層の間から発生してくる。
ヒトの場合は卵黄があって子宮に着床するので複雑な様相を呈するので、ナメクジウオの例を図2に示す。
図2:ナメクジウオの発生

このような経過をみると、64分裂は「桑実胚」、つまり卵割の最終段階を象徴的に示すものであり、卵割が終了して「子宮に着床の準備が整う」と理解できる。
「64」という数にこだわる必要はない。易は「陰陽」も「四象」も「八卦」も太極の一側面であり、最大数を64卦にあらわしたものだからである。いや、64卦にそれぞれ6爻があるので、64×6で384爻となるのだから、森羅万象を「504」の側面からとらえたものともいえる。

だから「64分裂で子宮に着床する」ことは誤りではないだろう。とはいえ、いったい「着床のときの細胞数がいくつなのか?」を知りたいのであるが、まだそれを明記した文献にはめぐり合っていない。


【三胚葉由来の器官】

●外胚葉からできる器官 
  表皮:皮膚の表皮(毛、つめ、汗腺など)、眼の水晶体、角膜、口腔上皮、嗅上皮
神経管:脳、脊髄、脳神経、眼の網膜、副腎髄質
●内胚葉からできる器官 
  消化管(食道・胃・小腸・大腸の内面の上皮)、えら、中耳、肺、気管。
●中胚葉からできる器官 
脊索:(みずからは器官を作らないが、脊椎骨や筋肉の分化に関与する)
体節:脊椎骨、骨格、骨格筋(横紋筋)、皮膚の真皮
腎節:腎臓、輸尿管、生殖腺、生殖輸管(輸精管、輸卵管)、副腎皮質
側板:腹膜、腸管膜、内蔵筋(平滑筋)、心臓、血管、結合組織

「先生のコラム」トップへ

ページの先頭へ戻る