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(以下、青木謙介さん:青木/インタビュアー:
イン) |
| イン |
まずは、関東鍼灸を卒業後、筑波大学の大学院に進まれた経緯について教えてください。 |
| 青木 |
もともとは、はり・きゅうの専門学校の教員になりたいという思いがあり、関東鍼灸在学中に、ある大学を見学に行きました。ところがそこで、「入学しても、君のやりたいことはできないよ」といわれてしまって。 |
| イン |
「やりたいこと」というのは? |
| 青木 |
私は体育大出身で、ずっとスポーツに関わってきたので、スポーツ選手の治療ができるようになりたいというのがありました。
ところが、そこの大学ではそれは難しいと言われ、今通っている筑波大を勧められたのです。あそこなら設備も環境も整っていますよと。 |
| イン |
実際入学してどうでしたか? |
| 青木 |
そうですね、確かに設備も充実しているし、環境はかなりいいですね。
ただ、かなりつっこんだ解剖、生理学的な知識は当然として、いろいろな検査法や、神経学的な所見についても理解しなければならないので勉強漬けです。
選手がどういうトラブルを抱えていて、どういう状態なのかを鑑別していくためにはかなり詳細な知識が必要なのです。
5年の課程なので、3年後には博士論文を提出しなければなりません。今は論文提出を意識しながら、自分のテーマに沿って研究を進めていることころです。 |
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| イン |
大学内でも選手を治療したりするのですか? |
| 青木 |
大学の施設に「保健管理センター」というのがあって、学内の選手達が何かトラブルを抱えたときに利用します。
そこにはドクターが常駐しています。そこで、ドクターの診察により、選手に必要なものが指示されます。例えば、「こういうリハビリをしてください。」とか、「物理療法や鍼治療をしてください。」など細かく指示されます。
診察にあたっているドクターは、各競技団体の全日本をサポートしているドクターなので、こんな症状の時は鍼が有効であると言うことを知っているのですね。そして、私のような鍼灸師やPTなどのスタッフが治療やリハビリにあたっています。
私は鍼灸師として東洋医学的なバックグラウンドを持っていますが、他の医療スタッフと円滑にコミュニケーションをとるためには、十分な西洋医学的な知識が必要です。そのあたりには気を使います。 |
| イン |
青木さんは、どういったことに気をつけて選手の治療やコンディショニングに当たっているのですか? |
| 青木 |
ひとことで言えば、「選手のベストパフォーマンスを引き出す」ことをいつも意識しています。
選手たちは本番でよい結果を出すことを目的にしていますから、いかに試合当日に向けて良い状態にもっていくかに神経を使います。
そのようなコンディショニングの他にも、試合後のケアや、残念ながら怪我を抱えてしまった場合の処置など、一口に「ベストパフォーマンス」といってもやらなければならないことは多岐に渡ります。 |
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| イン |
かなりやりがいがありそうですね。ところで、スポーツトレーナーとしてどんなスキルが必要だとお考えですか? |
| 青木 |
選手の状態をよく知るためには、当然自分自身が競技選手経験を持っているほうが良いと思います。
あとはやはり、コミュニケーション能力が大切です。
先ほども少し触れましたが、他の医療スタッフとも十分なコミュニケーションを取る必要がありますし、選手にも医学的なことを分かりやすく説明できるだけの言語能力がないと、十分なコミュニケーションをとれません。プロ選手などは筋肉の名前等も理解していますが、一般の選手はそんなに医学的な知識があるわけではありません。そうした彼らに現在の状況と具体的にどのようなことに気をつけていかなければならないかを分かりやすく伝える必要があります。また逆に、選手からいろいろと情報を引き出さなければならない状況もあります。
自分が持っている競技経験だけですべての競技をカバーできるわけではありません。自分が全く経験したことのない競技の選手を治療する機会もあります。そんなときは、選手からいろいろと情報を引き出しながら治療にあたることになるのです。
コミュニケーションの質がそのまま治療結果に反映するといっても過言ではないかもしれません。 |
| イン |
なるほど。最近はスポーツトレーナーを目指している人も増えていると聞きます。そういう方たちにはとても参考になるお話だと思います。 |
| 青木 |
私の話はあくまで私個人としての見解ですが、少しでも役にたてばうれしいです。
ですが、この世界は相当厳しいと思っていただいて間違いありません。トレーナー業のみで食べていけるひとはほんの一握りの人たちだけです。日本ではまだまだプロスポーツが成熟していないというか、お金がスポーツにあまり流れていないのが現状です。ということは、プロ選手が少ないためそれを支えるトレーナーもおのずと限られるということになります。
それに、現在日本にはスポーツトレーナーという国家資格があるわけではありません。日本体育協会が公認しているアスレティックトレーナーの資格はありますが、鍼灸師や柔道整復師のような国家資格とは別のものであるというのが現状です。 |
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| イン |
業界自体はまだまだ厳しいということですね。それでもトレーナーを目指したいという人たちに何かメッセージがあれば、お願いします。 |
| 青木 |
そうですね。スポーツトレーナーを目指すのであれば、自分に何が必要なのか、よく検討する必要があると思います。本当に鍼灸の資格が必要なのかも含めて。
せっかく資格を取っても、鍼灸師としてどうしたいかが明確でないと、資格が勿体無いです。対応する競技によっても活かされる資格は違ってきますし。 |
| イン |
それはどういった違いなのでしょう? |
| 青木 |
非常に大雑把な言い方をすれば、水泳や陸上などの個人競技ではオーバーユースの障害が多いため,鍼灸が活躍できるシーンが多いですが、ラグビーやアメリカンフットボールなどの団体競技では骨折や捻挫などの傷害が多いため,柔道整復師の資格が活かされると思います。 |
| イン |
なるほど。 |
| 青木 |
あと、これから目指す人に伝えたいのは、将来的なビジョンをしっかり持ったほうが良いということです。この業界はこれからますます競争が激しくなりますから、自分が何で勝負していくかのビジョンがないと他と差別化していくことができないと思います。 |
| イン |
それはスポーツトレーナーに限らず、鍼灸業界でもそのまま通用する考えですね。最後になりますが、今後の青木さんの目標についてお聞かせください。 |
| 青木 |
当面の目標は3年後に論文を提出して博士号を取得することです。あと、アスレティックトレーナーの資格も目指したいと思っています。
それから、教育にも関係していきたいのでその準備もしていこうかと考えているところです。 |
| イン |
今後ますます盛りだくさんで、お忙しくなりそうですね。お体に気をつけてがんばってください。
今日はお忙しい中お時間を割いて頂いてありがとうございました。 |